長期優良住宅で未来の資産を育み長く住まえる家づくりをする方法とは?
公開:2024.08.16 更新:2024.08.16日本の木造住宅は自然災害の他、戦後の急速な建設とライフスタイルの変化により寿命が短く、多くが30〜50年で寿命を迎えます。これは、戦後の住宅不足で質より量が重視され、当時のライフスタイルに合わせたためです。リフォームが難しく、新築が進んでいます。
長期優良住宅は、2009年から始まった認定制度で、耐震性や省エネ性能に優れ、長期間快適に住める住宅です。認定を受けると、住宅ローン控除や固定資産税の減免、地震保険料の割引などが受けられ、初期投資の負担が軽減されます。また、長期優良住宅は健康的で快適な住環境を提供し、資産価値の維持にも優れています。
目次
日本の木造住宅は寿命が短い~その理由は?
日本の戸建て住宅は欧米諸国に比べると寿命が短いと言われていますが、これは地震などの自然災害の多さだけが原因ではありません。
◇建物の寿命
国土交通省の「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」の統計に基づくと、一戸建ての寿命は木造住宅で30~80年程度、鉄骨構造の住宅は30~60年程度だと発表されています。
ただし、同じ木造住宅であっても、そのスペックには大きな違いがあり、これらの差を考慮して一戸建ての寿命はおおよそ30~50年とされており、海外に比べると住宅の寿命が短いのです。
日本の一戸建ての寿命が短い一因は、戦後の住宅不足により、質より量を重視して急ピッチで建設されたためで、これにより、耐震性や耐久性が劣る住宅が多く建てられました。
しかし、大地震が続いたことで耐震基準が厳格化され、近年は木造住宅でも耐震性に優れた住宅が増えています。
◇ライフスタイルの変化
高度成長期に建てられた多くの日本の一戸建ては、当時のライフスタイルにのみ対応しており、将来の生活スタイルの変化には対応できず、これが日本の住宅寿命を短くする一因となっています。
ライフスタイルの変化に伴い家族構成が変わったり、バリアフリー化が必要になったりしても、構造や配管の位置が原因で住宅の間取りの変更が難しいため、結果として住みづらさが増し、多くの場合、解体して新たに建て直すことになります。
このように、リフォームが困難な住宅が多いことが、日本の住宅寿命が短い一因となっているのです。
耐震・省エネに優れた長期優良住宅とは?
画像出典:フォトAC
近年、長期優良住宅という言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。これは長期優良住宅とは、長期にわたり安心して快適に住める家を指しています。
◇長期優良住宅とは
長期優良住宅は、長期にわたり安心して快適に住むことができる家を指し、2009年にスタートした「長期優良住宅認定制度」に基づいています。
新築や既存住宅の増築、改築が対象で、2022年3月末時点で累計135万戸以上が認定を受けています。
長期優良住宅の基準として、良好な景観と地域の住環境を保持する必要があり、戸建て住宅は床面積が最低75平方メートルで、1階の床面積が40平方メートル以上でなければなりません。
さらに、断熱等性能等級「等級5」、一次エネルギー消費量等級「等級6」、劣化対策等級「等級3」をクリアし、耐震等級1~3の基準にも適合する必要があります。
◇手続きの流れは?
認定手続きは、施工主や分譲事業者が工事着工前に申請します。この過程では、建築予定の住宅が認定基準に適合しているかどうかを登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けます。
申請には確認申請書や設計住宅性能評価申請書、設計内容説明書、各種図面、計算書などの添付図書が必要です。適合審査に合格し、認定通知書が交付されると、着工が可能です。
しかし、長期優良住宅の申請を着工前にしていれば、所管行政庁から認定通知書の交付を受ける前に着工したとしても、着工後に認定を受けることが可能です。
住宅ローン減税でも得する長期優良住宅
長期優良住宅は耐震性、省エネルギー性、メンテナンスの容易さが特徴の住宅で、国土交通省の認定を受けることにより、固定資産税の減免や住宅ローン減税などの補助金や税制優遇を利用できます。
◇住宅ローン控除
長期優良住宅を購入すると、通常よりも住宅ローン控除が優遇されます。多くの金融機関では、優遇金利を提供しており、通常より低い金利で住宅ローンを組めるので、月々の返済額や長期的な返済負担が軽減可能です。
さらに、固定資産税は、一般的な新築住宅の場合3年間ですが、長期優良住宅の場合は5年間となります。
◇不動産取得税
長期優良住宅の購入には不動産取得税の軽減もあります。申請は設計段階から始まり、計画申請提出後の適格審査をクリアする必要がありますが、この制度により物件購入時の初期コストが大幅に削減されます。
また、高い耐震性能による地震保険料の割引も年間の保険料節約につながります。この認定を受けると、さまざまな補助金の対象になり、初期投資の負担も軽減されます。
これらのメリットにより、長期優良住宅の認定を受けると、補助金や税制優遇の恩恵を受け、全体的なコスト削減が可能です。
子や孫のためにもなる長期優良住宅の魅力
長期優良住宅はコスト面や税金の他にも、さまざまなメリットがあります。岡山でも、注文住宅に長期優良住宅を導入する方が増加しています。
◇健康に過ごせる
長期優良住宅は高性能な住宅であるため、一般的な住宅に比べると、快適で安全な生活を提供し、次の世代にも住み継げるメリットがあります。
具体的には耐震性が高いと、大地震時の損傷が少なく、高い断熱性により、エアコンなどの空調機器が効率良く動作し、少ないエネルギーで夏涼しく冬暖かく過ごせます。
かつての日本の多くの住宅では断熱性が低いため、冬のお風呂やトイレは温度差が激しく、ヒートショックによって死亡する高齢者が多いことが調査で明らかにされています。こうしたことから、断熱性を確保することは、家族の健康を守る上で非常に重要です。
◇資産として運用できる
不動産の資産価値は、土地と建物に分けて算出されます。資産価値は、土地価値は地価や路線価に基づき、建物価値は立地、デザイン、管理状態によって決まり、土地価格は高騰や下落はありますが、一般的には比較的安定しています。
対照的に、建物は経年劣化が避けられず、そのため土地に比べて資産価値が下がりやすく、建物の価値は評価しにくいとされていました。
さらに、従来の一般住宅では、「スクラップ&ビルド型」と呼ばれる方式で、古い家を壊して新しい家を建て直す方法が多用されていましたが、近年は解体時の廃棄物が多く環境問題を引き起こすなどの問題点も指摘されるようになったのです。
一方で、長期優良住宅は、長く住み続けることが可能な質の高い家を指し、「ストック型」の家づくりと呼ばれます。長期優良住宅は劣化対策や地震対策が施され、家族構成の変化やエネルギー消費の削減にも対応しているため、長期優良住宅に認定されると、建物の資産価値が一般住宅に比べて長期間維持されるのもメリットだと言えるでしょう。
日本の木造住宅の寿命が短いのは、自然災害だけでなく、戦後の急速な建設とライフスタイルの変化にも起因しています。国土交通省の統計によれば、木造住宅の寿命は約30〜80年で、鉄骨構造の住宅は30〜60年です。しかし、多くの住宅は30〜50年で寿命を迎え、海外に比べて短いです。
原因としては、戦後の住宅不足で質より量が優先されたことや、当時のライフスタイルにしか対応していないため、現代のニーズに合わないことが挙げられます。リフォームが困難なため、解体と新築が進んでいます。
長期優良住宅は、2009年に始まった認定制度で、耐震性や省エネ性能が優れ、長期間快適に住むことができる住宅です。基準には、断熱等性能や耐震等級の条件があります。
認定を受けると、住宅ローン控除や固定資産税の減免、地震保険料の割引などの税制優遇が受けられ、初期投資の負担が軽減されます。長期優良住宅は、健康で快適な住環境を提供し、資産価値を長期間維持できる点も大きなメリットです。