高齢者が健康に暮らせる注文住宅とは?取り入れたい機能や工夫
公開:2024.07.31 更新:2024.07.31高齢者が快適に暮らせる注文住宅を建てるためには、高気密高断熱の家や平屋の選択、転倒しにくい浴室設計などが欠かせません。転倒によるケガや急激な温度変化によるヒートショックを防ぐためです。
また、間取りの工夫として、段差をなくす、寝室の近くにトイレを設置する、手すりを各所に設けることが推奨されます。これらの対策により、高齢者の自立を支えつつ、子どもにとっても安全な住環境が実現できます。
目次
高齢者の一人暮らしの現状と原因
日本は世界で最も高齢化が進んでいる国のひとつで、一人暮らしをしている高齢者の割合も年々増加しています。高齢者の一人暮らしが増えている背景には、子どもがいない、あるいは生涯未婚率が上昇しているといった原因が考えられます。
◇高齢者の一人暮らしの現状
高齢者の一人暮らしの割合は、年々増加傾向にあります。
内閣府が発表している「令和3年版高齢社会白書」では、65歳以上の人口でひとり暮らしが占める割合は、2015年時点で男性が13.3%、女性が約21.1%となっています。
2040年にはこの割合が男性20.8%、女性24.5%まで増加すると予想されており、健康面などの不安を感じながら暮らしている高齢者も多いのが現状です。
◇高齢者の一人暮らしの3つの原因
高齢者の一人暮らしが増えている原因としては、次の3つが考えられます。
・頼れる人が周りにいない
少子化・核家族化が進んだ現代では、子どもはいても他県で生活していることが多いため、近くに一緒に住むような家族がいないケースが非常に増えています。
・不自由を感じていない
一人暮らしで特に不自由を感じていない、現状に満足しているという高齢者も多数見受けられます。収入が安定しており、健康状態が良好な人は、好きな趣味に打ち込んで、充実した日々を送っています。
・あえて一人暮らししている
家族に負担をかけたくない、気兼ねをしてストレスを溜めたくないからあえて一人暮らしをしているという高齢者も多いのが現状です。長年住み慣れた家を離れたくないという人も少なくありません。
高齢者の生活で起こりえるリスク
人に気兼ねせずに自由に暮らせる点が一人暮らしのメリットとはいえ、さまざまな危険が伴うことも確かです。
◇転倒によるケガ
高齢者の転倒は、骨折や打撲、筋肉の損傷などの原因になります。特にキッチンや浴室は滑りやすく、転倒や骨折のリスクが高い場所です。また、突然の温度変化は、ヒートショックを引き起こし、心臓や血管に負担をかけることがあります。
◇家事への意欲が低下
高齢になると、家事がおろそかになることも少なくありません。年齢とともに体力が低下し、家事を続けるのが難しくなるからです。特に重い物を持ったり、階段を上り下りする動作が困難になることが多いです。
高齢者が暮らしやすい注文住宅をつくるには
岡山県で注文住宅を建てる際には、高齢者が暮らしやすい環境を重視することが大切です。
◇注文住宅の性能を上げる
高性能の注文住宅は、住む人の健康をいたわり、一人暮らしでもゆったりとした気分で過ごせるものです。
・高気密高断熱の家
まず、高齢者にとって、高気密高断熱の家は必要不可欠です。家の中の気温が一定に保たれるので、ヒートショックを防ぐことができますし、光熱費を節約できるというメリットもあります。
・平屋
家を平屋にすることも、高齢者が暮らしやすい家の条件のひとつです。2階建ての場合、階段の上り下りが年を経るにつれて辛くなってくるものです。
特に、洗濯物を1階から2階のベランダに運ぶなどといった作業は、高齢者には重労働になってきますので、最初から平屋を選択するのが得策です。
・転倒しにくい浴室を作る
浴室での事故は非常に多く、骨折など、ケガをしやすい場所ですので、転倒しにくい浴室を作ることも重要です。床には滑りにくい素材を使用し、浴槽から上がるとき、移動するときなどに必要な手すりを必ず設置し、事故を未然に防ぐようにしたいものです。
◇注文住宅の間取りを工夫する
間取りの工夫によっても、住み心地が格段によくなります。
・段差を無くす
段差があるとつまずきやすいので、家中の床をフラットにするのがおすすめです。段差がないと掃除も楽で、家事効率が向上します。
・寝室の近くにトイレを設置する
トイレは、必ず寝室の近くに設置するようにしましょう。冬場などは、トイレが離れた場所にあると、寒くてトイレを我慢してしまうようなことがあります。高齢になるとトイレが近くなる人も多いので、設計の際には最初に寝室とトイレの間取りを決めることが肝心です。
・手すりを設置する
手すりは浴室だけではなく、廊下などにも必ず設置しておきたいものです。玄関にも手すりがあると、靴の脱ぎ履きなどが楽になります。
注文住宅で高齢者の自立と幸福感を支える
注文住宅を建てる際には、高齢者の自立と幸福感を支えることが大切です。
◇高齢者の自立を促せる
高齢者の自立とは、日常生活において自分の力で基本的な活動を行い、可能な限り他者に依存せずに生活できる状態を指します。例えば、入浴、着替え、食事、買物など生活にまつわるさまざまな行動が挙げられます。
間取りを工夫すると、高齢者が他者の介助がなくても生活しやすくなり、身体的にも精神的にも自立した状態を保ちやすくなります。
◇子どもも安全に暮らせる
高齢者が住みやすい住宅は、子どもにとっても安心・安全な環境と言えます。
例えば、高気密高断熱の家は、室内の気温を一定に保つことで快適な環境を提供し、寒暖差による体調不良を防ぎます。これは、高齢者だけでなく、小さな子どもにも適した環境で、風邪や体調不良を予防する効果があります。
また、浴室の床に滑りにくい素材を使用し、手すりを設置することで転倒事故を防ぐ工夫は、小さな子どもにも安全です。子どもは遊んでいるうちに滑りやすくなりやすいため、これらの対策が事故を未然に防ぎます。
これらの工夫は、小さな子どもが安全かつ快適に暮らすためにも有効です。
高齢者が快適に暮らせる注文住宅を建てるには、いくつかの重要な要素があります。まず、高気密高断熱の住宅を選ぶことで、室内の温度を一定に保ち、急激な温度変化によるヒートショックを防げます。
また、平屋の設計を選ぶことで、階段の上り下りが不要となり、転倒のリスクを減少させることができます。さらに、転倒しにくい浴室を設計することも大切です。滑りにくい素材を使用し、手すりを取り入れることで、浴室での事故を防ぐことができます。
さらに、間取りの工夫も重要です。家の中の段差をなくし、手すりを各所に設けることで、つまずきやすさを解消し、掃除や移動の負担を軽減します。
寝室の近くにトイレを設置することで、高齢者が夜間にトイレを使用する際の寒さや距離の負担を減らせます。
これらの対策により、高齢者が自立して快適に暮らす環境を提供しながら、子どもたちにとっても安全で快適な住まいを実現することができます。