2×4工法の耐震性能は高い?震災に貢献した事例を紹介
公開:2023.10.24 更新:2023.10.302×4工法の家を建てる際には、耐震性能について確認しておきましょう。日本は地震の多い国ですので、耐震性能は家を建てるうえで欠かせないポイントです。2×4工法の家が今まで起こった震災においてどのような貢献をしたのかについても、事例を確認しておきましょう。
目次
2×4工法とは?在来工法との違い
2×4(ツーバイフォー)工法はその特徴から現在、注目されている工法です。2×4工法とは何か、本当に地震に強いのかしっかり理解して家づくりの参考にしておくと、失敗を防げます。
工法の概要
2×4工法とは、2インチ×4インチの角材と合材を組み合わせて住宅の骨組みをつくり、6面体構造から家をつくっていく工法です。
角材は規格化されているため、工場での大量生産が可能で、パネルを工場で組立てから現場に運ぶため工期短縮にもなります。
在来工法との違い
2×4工法と在来工法には、大きな違いがあります。
2×4工法
角材と合材で構成した屋根・床・壁・天井のパネルを組み合わせて、6面体構造からつくっていくのが特徴です。在来工法と比べて工期が短く、箱状のため変形に強い特性を持っています。
在来工法
柱と梁を組み合わせて建物を建築する工法です。地震で軸組の崩壊や変形を防ぐため、筋交いを壁の中に設置して支えています。
また間取りやデザインの自由度も2×4工法に比べて高いため、将来的な増改築などのリフォームがしやすいのも在来工法です。
2×4工法は地震に強い?耐震等級についても解説
耐震性を見る際は、住宅性能表示制度の耐震等級が重要となります。
耐震等級とは、地震の力に建物がどれだけ耐えられるのか、建物の強度を表す指標です。1〜3までの等級があり、3が最高値にあたります。
耐震等級1
建築基準法と同程度の建物。数百年に一度程度発生する地震震度6~7に相当する地震に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性能です。
耐震等級2
数百年に一度程度発生する地震震度6~7の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性能です。
耐震等級3
数百年に一度程度発生する地震震度6~7の1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の耐震性能です。
2×4工法の耐震性能
2×4工法の建物は、耐震等級3にすることが可能であるといわれています。その理由は、2×4工法が6面体構造になっているためです。
在来工法が柱と梁で建物を支えているのに対して、2×4工法は床面・壁面・天井面(屋根面)の6つで建物を支えています。各面は枠組材と構造用画材が一体化したダイヤフラムというパネルで形成されています。
この6面で建物を支えているため台風や地震などの外力を分散させることが可能であり、在来工法のように一点に集中することがなく、建物全体でバランスよく受けることが可能です。
ただし、耐震等級3だからといって2×4工法が絶対安全というわけではありません。家を建てる際はハウスメーカーなど、専門家の意見を取り入れながら決めることをおすすめします。
2×4工法は震災にも耐えうる!事例を紹介
2×4工法の住宅は、耐震性・耐久性に優れているといわれていますが、実際のところ本当に大きな地震に耐えられるのか心配に思う人も多いです。
しかし、実際の大震災では地震による被害が少なかったことが日本ツーバイフォー建築協会の調査で分かっています。
東日本大震災
平成23年3月11日に日本の観測史上最大のマグニチュード9.0、震度7の地震が東北・関東を中心に発生し、しばらく震度5以上の余震が連日続いていました。特に東北の岩手県・宮城県・福島県の3県が津波による甚大な被害に見舞われ、全壊した住宅も多いです。
津波による被害を除くと、平成23年時点での統計では20,772戸の2×4工法住宅のうち19,640戸の住宅は特に大きな被害はないという結果が出されています。
新潟県中越地震
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震では、マグニチュード6.8、震度7を観測しました。短時間で15回以上震度5弱の余震が続いたことが特徴で、全壊・半壊が多い震災でした。
このときの2×4工法住宅の大きな被害は報告されていません。
阪神淡路大震災
全壊・半壊した住宅が多く沢山の人々が亡くなった平成7年1月17日の阪神淡路大震災でも、2×4工法の住宅は大きな被害を受けず全壊・半壊することはありませんでした。
大きな被害には遭いませんが、ひび割れなどの軽微な被害を受けた住宅は多いです。
中には甚大な被害を受けた地区に建つ築70年以上の2×4工法住宅が、外壁にひびやドアが開きづらくなったり、網戸が外れてしまったくらいの被害で済んだという声もありました。
この震災では多くの人が倒壊した建物の下敷きになり、命を落としています。このことからも耐震性が非常に重要なことが分かります。
釧路沖地震
平成5年に起こった釧路沖地震では、軽微な被害が報告されています。当時被害に遭った住宅の地区は造成地などで地盤の変動、擁壁の崩壊などがありました。これにより住宅は、上部構造が転倒傾斜していましたが、倒壊することなく残りました。
2×4工法は、2×4インチの木材を使用して住宅の骨組みを作る方法で、地震に強く、工期短縮が可能な工法です。
在来工法との違いは、2×4工法が6面体構造で建物を構築し、工期が短く、変形に強い特性を持つ点です。在来工法は柱と梁で建物をサポートし、デザインの自由度が高く、リフォームがしやすいが、工期は長く、変形には弱い傾向があります。
2×4工法の耐震性は耐震等級3で、これまでの大震災で多くの2×4工法住宅が被害を受けなかった実例からもその耐久性が示されています。ただし、地盤状況による被害の差があるため、注意が必要です。
2×4(ツーバイフォー)注文住宅ガイドでは、2×4工法に強い工務店やハウスメーカーについての情報を掲載しております。是非参考にしてみてください。